法定相続人であっても、遺言や贈与があると、遺産を受け取れないケースがあります。
そのような場合、一定の法定相続人には「遺留分」を請求することにより、最低限の遺産を取り戻すことが認められます。
ただ、「具体的にどのように遺留分請求をしたら良いのかわからない」という方もおられることでしょう。
今回は、遺留分の基本的な請求方法と、相手が支払いに応じない場合の最終手段について、弁護士が解説します。
1.遺留分の請求方法は、内容証明郵便を使う
1-1.内容証明郵便で、遺留分侵害額請求書を送る
遺留分を請求するときには、「確実に遺留分請求をした」ことを証明することが重要です。
遺留分には、「相続開始と遺留分を侵害する遺贈や贈与を知ったときから1年間」という時効がもうけられているからです。
そこで、遺留分を請求するためには、「内容証明郵便」によって、「遺留分侵害額請求書」を遺留分侵害者(遺贈や贈与にとって遺産を受けとった人)に送付する必要があります。
1-2.内容証明郵便を利用する理由
なぜ、内容証明郵便を利用すべきなのでしょうか?
内容証明郵便とは、郵便局がその内容を証明してくれる郵便のことです。
内容証明郵便を利用すると、郵便局と差出人の手元に、相手に送ったのと全く同じ内容の控えが残ります。確定日付も入るので、確実に期限内に請求をしたことが明らかになります。また、「配達証明」というサービスを利用すると、相手に送達された日にちについても、証明されるので、相手が「遺留分請求されていない」と主張することができなくなります。
このように内容証明郵便を利用すると「遺留分侵害額請求した事実とその日付」を、確実に証明することができるのです。これにより、確実に期限内に遺留分請求をしたことが明らかになります。
1-3.内容証明郵便を送る方法
内容証明郵便を送るときには、全く同じ内容の文書を3通作成して、郵便局に持参する必要があります。書式なども厳格に決まっているので、注意が必要です。
今はインターネット上で「電子内容証明郵便」のサービスを利用することができるので、郵便局に行く手間を省きたい場合などには利用すると良いでしょう。
2.相手と交渉する
内容証明郵便によって相手に遺留分請求をしたら、その後相手と遺留分の返還方法について交渉を行います。
合意が成立したら、「遺留分の返還についての合意書」を作成して、その内容に従って返還を受けましょう。
なお、遺留分は現物で返還することが原則とされていますが、話合いによって返還を受ける場合には、金銭賠償とすることが多いです。
3.相手が支払いに応じない場合の対処方法
交渉をしても相手が支払いに応じない場合、遺留分侵害額請求調停や遺留分侵害額請求訴訟などの法的手続によって解決する必要があります。
その際、弁護士が代理人になって手続きを行うと、有利に進めることができます。
遺留分侵害額請求(旧法:遺留分減殺請求)は、訴訟になる前に解決する方がスムーズですので、できれば交渉段階や、遺留分侵害額請求調停の段階から弁護士に依頼することをお勧めします。
虎ノ門法律経済事務所は、弁護士と税理士が両方在籍しており、相続税を含めて遺産相続問題をワンストップで解決できる法律事務所です。
遺留分の問題でお困りの場合、是非とも一度、ご相談ください。