銀行・証券口座の手続きについて

遺産相続が起こったとき、銀行の預貯金や株式などの有価証券類が残されているケースは非常に多いです。

預貯金と株式などの有価証券類は、同じ「流動資産」として似たような取扱いを受けますが、法律上、遺産分割の場面では異なる取扱いになるので、注意が必要です。

以下では、相続が起こったときの、銀行口座や証券口座の手続きについて、虎ノ門法律経済事務所の弁護士が解説します。

 

1.預貯金の取扱い

現在の相続制度において、相続が開始したとき、預貯金は「当然分割」されると考えられています。当然分割とは、相続が起こった瞬間に、それぞれの法定相続人が法定相続分にもとづいて預貯金を取得するということです。相続が起こったら「当然に」預貯金が「分割」されるので、「当然分割」と言います。

そこで、預貯金は遺産分割の対象になりません。本来ならば遺産分割協議をしなくても、各相続人が金融機関に行って法定相続分の払戻しを求めると、払戻しを受けることができます。

ただ、実際には預貯金も遺産分割の対象にしたいと望む相続人の方が多いです。

また、預貯金の名義人が亡くなると、不正を防ぐために口座が凍結されますし、遺産分割協議が成立しないと払戻しに応じない対応をとる金融機関もありますので、実際には遺産分割協議で預貯金の相続方法を定める事例がほとんどです。

この場合、遺産分割協議において誰が預貯金を受け継ぐかを決めて、遺産分割協議書を作成します。それを金融機関に持参すれば、預貯金の払い戻しを受けたり名義変更をしたりすることができます。

その際、払戻請求書(銀行ごとの書式があります)や請求者の印鑑登録証明書、身分証明書、被相続人や相続人の戸籍謄本などの書類が必要になります。

金融機関によって必要書類が異なるので、事前に対象の金融機関に問い合わせましょう。

 

2.有価証券(証券口座)の取扱い

株式などの有価証券は、預貯金とは異なり、当然分割されません。

有価証券は、相続開始と同時に相続人間で「準共有」という状態になります。

準共有とは、法定相続人全員が、株式などを共有している状態です。それぞれの持分は、法定相続分によって決まります。

いつまでも準共有のままにしておくわけにはいかないので、いずれ誰かが取得することを決めなければなりません。そこで、遺産分割協議により、どの相続人が株式を取得するかを決定します。

遺産分割協議が成立すると、株式を預けている証券会社に連絡を入れて、名義変更の申し入れをします。このときの必要書類は、証券会社ごとの名義変更申請書と請求者の印鑑登録証明書、身分証明書、被相続人や相続人の戸籍謄本類などです。詳しくは、各証券会社に問い合わせる必要があります。

以上のように、銀行預貯金や株式などの有価証券を相続するときには、前提として遺産分割協議が必要です。

当事務所でも、遺産分割方法や預貯金口座、証券口座の名義変更の方法などについて適宜アドバイスを行っておりますので、迷われた際には、是非とも一度、ご相談下さい。

 

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