遺言書を作成するときには、「トラブル発生の予防」を目的とするケースが多いです。
ただ、効果的にトラブルを予防するためには、遺言書の作成方法や内容にも配慮が必要です。むやみに遺言書を作成すると、かえってトラブルの種になってしまう可能性もあります。
今回は、トラブルを予防できる遺言書とはどのようなものか、弁護士が解説いたします。
1.遺言書は、相続財産の多寡に限らず必要となる
「相続トラブル」などというと、遺産が相当たくさんある富裕層だけの問題だと考える方が、多くおられます。
いつも言うことですが、このような考え方は、残念ながら誤りです。
遺産分割協議では解決ができず、家庭裁判所に持ち込まれて遺産分割調停となるケースでも、遺産総額が5,000万円以下のケースが7割以上にのぼりますし、1,000万円以下のケースも3割程度、あるのです。
そこで、一般的な家庭でも、放っておくと相続トラブルになる可能性があると言えます。
今は仲の良さそうな子供達でも、相続が開始すると骨肉の争いとなってしまうおそれがあるので、安心できないのが現実です。
そして、相続トラブルを予防するために有効な手段が遺言書です。
遺言書があると、遺言内容に従って遺産相続をするので、相続人たちが遺産分割を進める必要がなくなるからです。
将来の遺産相続トラブルを避けたいならば、遺言書を作成しましょう。
2.トラブルを予防する遺言書とは
遺言書を作成するときには、遺言内容と遺言書の作成方法に注意が必要です。
まず、相続人の遺留分に注意が必要です。遺留分を侵害する遺言書を作成してしまったら、死後に遺留分侵害額請求(旧法:遺留分減殺請求)が行われる可能性があるからです。そうなると、遺留分の請求者と侵害者との間で大きなトラブルが起こってしまいます。
また、遺言書の作成方法にも注意が必要です。
遺言書を作成しても、相続人達が「遺言書は無効」「偽造」などと言い出すと、やはり遺言書がトラブルの種になってしまうからです。
遺言書には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3種類がありますが、中でももっとも確実性と信用性が高いのが、公正証書遺言です。
公正証書遺言は、公証人が公文書として作成するので偽造は不可能ですし、無効になるリスクも非常に小さいです。原本が公証役場で保管されるので、紛失や発見されないリスクもありません。
これに対し、自筆証書遺言や秘密証書遺言は、発見されなかったり内容を信用してもらえなかったり無効になったりするリスクも高いので、相続トラブル防止効果は低くなります。
トラブルを確実に避けたいなら、公正証書遺言をすべきと言えます。
虎ノ門法律経済事務所では、法律及び税務の両方の側面から、ワンストップの相続対策を進めます。
遺言書によって、確実に相続トラブルを避けたい場合には、是非とも一度、ご相談ください。