遺産相続をするときに遺言書があると無いとでは手続きの煩雑さに大きな差が生じます。
また、遺言書の作成を専門家に監修してもらうことで相続トラブルの抑制も可能です。
では、遺言書があると無いとでは
それぞれの項目でどのような違いがあるのか確認していきましょう。
【項目】
・遺産分割協議
・遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)
・特別受益・寄与分
・相続登記(不動産の名義変更)
・金融機関の名義変更・解約
・音信不通の相続人への対応
遺産分割協議
- 遺言書が無いとき
遺言書が無い場合、相続人全員(※1)で集まり遺産分割協議をし、
遺産分割協議書を作成することになります。 - 遺言書があるとき
遺言書の内容に問題が無ければ、遺言のとおりに遺産分割されます。
そのため、遺産分割協議の必要がなくなりスムーズに相続手続きを進めることができます。
※1
代理を依頼することも可能ですが、
遺産分割協議においては弁護士にのみ、代理を依頼することができます。
遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)
- 遺言書が無いとき
遺言書が無い場合、正式な遺産分割協議を行っていれば相続人全員が
相続の内容について同意しているはずなので遺留分侵害額請求は発生しません。 - 遺言書があるとき
遺言書を作成する際に、弁護士などの専門家に確認してもらうことで
遺留分侵害額請求による相続トラブルを避けることが可能です。
特別受益・寄与分
特別受益
相続人の中で被相続人から特別に利益を受けていた人の利益
寄与分
相続人の中で被相続人の財産の維持・形成に貢献したことが
認められた人が受け取ることのできる遺産
- 遺言書が無いとき
特別受益の持ち戻しや寄与分を相続人が主張するとトラブルへと発展しやすくなります。
また、寄与分の証明は困難で、実際に寄与していた相続人へ
寄与分を証明するための負担を与えてしまうことになります。 - 遺言書があるとき
特別受益の持ち戻しについては、遺言などで免除の意思表示ができますが、
寄与分は遺言で定めることができません。
ただし、遺言によって遺産の配分を指定できますので、寄与してくれたと思う人へ
多めに相続・遺贈したい場合などは遺言書を作成することが有効です。
特別受益や寄与分を考慮した遺言書を作る際には専門家などに確認することで
より確実に相続人同士でのトラブルを抑制することができます。
相続登記(不動産の名義変更)
- 遺言が無いとき
相続登記をするには相続員全員が署名押印した遺産分割協議書が必要になります。 - 遺言があるとき
遺言に不動産を相続するとあった場合、相続人が相続登記をすることになります。
しかし、相続登記の手続きは複雑なので司法書士や弁護士に依頼することをおすすめします。
遺言執行者を弁護士などに依頼しているのであれば相続登記も合わせて依頼が可能です。
金融機関の名義変更・解約
- 遺言が無いとき
金融機関へ相続に関する手続きをするためには、相続人全員の印鑑登録証明書が必要となります。 - 遺言があるとき
遺言執行者が決まっていれば、
遺言執行者の印鑑登録証明書と必要書類だけで手続することができます。
音信不通の相続人への対応
- 遺言が無いとき
連絡が取れない相続人がいると遺産分割協議や
金融機関の手続きを進めることができなくなってしまいます。
どうしても連絡がとれなければ不在者財産管理人の選任申立などの対応をしなければなりません。 - 遺言があるとき
遺言の作成者が音信不通の相続人に遺産を相続させたいのか、
させたくないのかなどの状況によって対処が変わってきます。
ただ、遺言書が無く、相続人の中に音信不通の方がいると
上記のように、他の相続人が苦労してしまうことでしょう。
音信不通の相続人がいる場合は、専門家に相談して遺言書を作成することをおすすめします。
まとめ
誰にも言わずに遺言書を作成している方もいらっしゃるので正確な数字は出せませんが
現在、遺言書を作成している人は1~2割程度と言われています。
虎ノ門法律経済事務所和歌山支店では、
遺言が無かったことで発生した相続問題に数多く立ち会って参りました。
そこで、少しでも遺言書を作成される方を増やして
余計な相続問題を減らしていきたいと考えております。
遺言書の作成をお考えの方や
親や親戚に遺言書を作成しておいて欲しいとお考えの方がいらっしゃいましたら、
当事務所では初回相談料を無料とさせていただいていますので、お気軽にご相談ください。