前回、【遺贈をするときの注意点】をご紹介しました。
今回は、遺贈をするときに注意しなければならないポイントをご紹介します。
1.特定遺贈と包括遺贈
まず、特定遺贈か包括遺贈かで、受遺者の義務権利が変わってきます。
【特定遺贈とは】
「○○の土地を●●へ遺贈する」「金○○万円を●●へ遺贈する」など
財産を特定して遺贈することを言います。
【包括遺贈とは】
「全財産を●●へ遺贈する」「全財産の○分の○を●●へ遺贈する」など
財産を具体的には特定せず、遺産の全部または一定割合で遺贈することを言います。
民法によって、包括受遺者(包括遺贈を受けた者)について次のように定められています。
- 【民法第990条】
包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。
しかし、包括受遺者が被相続人より先または同時に亡くなった場合、
包括受遺者の相続人は特段の事情が無い限り、代襲相続できません。
つまり、包括受遺者と相続人の扱いは完全に同一ではないので注意が必要です。
2.包括遺贈は負債も対象になる
被相続人に負債があった場合、包括受遺者は相続人と同じく負債も引き継ぐことになります。
そして、放棄、限定承認するときには遺贈を知ったときから
3か月以内に家庭裁判所へ申請する必要があります。
特定受遺者は、指定が無い限り負債を引き継ぐことはありません。
3.特定遺贈の放棄時期
民法では、受遺者の遺贈の放棄時期について、次のように定められています。
- 【民法第986条第1項】
受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。
しかし、いつでも遺贈を放棄できてしまうと、
他の相続人が遺産分割協議を終え、一段落したときに放棄されると困ってしまいます。
そこで、民法では「受遺者に対する遺贈の承認又は放棄の催告」についても定めれれています。
- 【民法第987条】
遺贈義務者(遺贈の履行をする義務を負う者をいう。以下この節において同じ。)
その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、
その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる。
この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対して
その意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなす。
催告をされた場合、口頭などの意思表示で可能とされていますが、
後々に、問題が発生したときのことも考えて、
証拠が残る内容証明郵便を用いることをおすすめします。
4.特定遺贈には不動産取得税がかかる
特定遺贈によって、不動産が遺贈された場合、
(特定)受遺者は、不動産取得税を納める必要があります。
(相続人、包括受遺者は不動産所得税はかかりません。)
その他の受遺者が支払わなければならない税金については、
【遺贈をするときの注意点】をご覧ください。
まとめ
遺贈をされたときには、包括遺贈なのか、特定遺贈なのか、
包括遺贈であれば被相続人に負債は無いかを確認しておきましょう。
相続財産が基礎控除額を超えていた場合には、受遺者も相続税を納める必要があります。
特に、不動産を遺贈されたときには、受遺者は様々な税金を納めなければなりません。
包括遺贈されたり、相続人から遺贈又は承認の催告が届いたりしたときにお困りでしたら、
当事務所では初回相談料を無料とさせていただいていますので、お気軽にご相談ください。